主さまの部屋に入ってもおんぶしてもらっていた息吹は背中から下ろされると小走りに続き部屋の自室に入って、買ってもらった髪紐を引き出しに入れると主さまの部屋に舞い戻った。
「誕生日っていつ?母様に聴くんだから!」
「俺の誕生日は誰も知らない。晴明にすら教えたことはないからな」
「でも私には教えてくれるんでしょ?」
きょとんとした顔で、自分には絶対教えてくれるものだと思い込んでいる顔をしている息吹に思わず主さまはぷっと吹き出した。
「さあな。俺から聞き出してみろ」
そう言って着物から腕を抜くと主さまの上半身が露わになり、息吹は慌てて背を向けながら自室に繋がる襖を指で突きまくった。
「聞き出すって…どうやって?教えてよ、お祝いしたいよ」
「別に祝ってもらわなくてもいい。もう何年生きていると思ってるんだ」
「何年生きてたって誕生日は嬉しいものだよ?…私には誕生日…ないんだから」
…はっとなった。
息吹は赤子の頃に幽玄橋に捨てられ、己の誕生日は知らない。
また自分たちも今までそれに気付いてやれずに息吹の誕生日を祝ったこともない。
すっかり落ち込んでしまった息吹がとぼとぼと自室に戻ろうとして、主さまは手を掴んで引き寄せた。
「…すまなかった」
「私こそごめんなさい…。自分の誕生日を知らないのは主さまのせいじゃないのに…」
目を合わさずずっと俯いている息吹を抱き上げると床の上に座り、背中を撫でてやると嗚咽が漏れた。
…母から捨てられたことを忘れたことはなかっただろう。
妖と人の考え方は違う。
妖は誕生日など気にしない。
だが、息吹は違う。
背中に腕が回ってくると感情が爆発したのか声を殺して子供のように泣きじゃくり、主さまは和紙を引き寄せて溢れる涙を拭いてやった。
「餓鬼が。泣き止まないと俺が山姫たちに怒られる。ほら、鼻を噛め」
「うん…。ちーん!」
思いきり鼻を噛み、胸に頭をあずけてくると、小さな声で驚きの一言を放った。
「私…主さまと同じ誕生日だったらいいな…」
…息吹が捨てられていた季節がやってくる。
「誕生日っていつ?母様に聴くんだから!」
「俺の誕生日は誰も知らない。晴明にすら教えたことはないからな」
「でも私には教えてくれるんでしょ?」
きょとんとした顔で、自分には絶対教えてくれるものだと思い込んでいる顔をしている息吹に思わず主さまはぷっと吹き出した。
「さあな。俺から聞き出してみろ」
そう言って着物から腕を抜くと主さまの上半身が露わになり、息吹は慌てて背を向けながら自室に繋がる襖を指で突きまくった。
「聞き出すって…どうやって?教えてよ、お祝いしたいよ」
「別に祝ってもらわなくてもいい。もう何年生きていると思ってるんだ」
「何年生きてたって誕生日は嬉しいものだよ?…私には誕生日…ないんだから」
…はっとなった。
息吹は赤子の頃に幽玄橋に捨てられ、己の誕生日は知らない。
また自分たちも今までそれに気付いてやれずに息吹の誕生日を祝ったこともない。
すっかり落ち込んでしまった息吹がとぼとぼと自室に戻ろうとして、主さまは手を掴んで引き寄せた。
「…すまなかった」
「私こそごめんなさい…。自分の誕生日を知らないのは主さまのせいじゃないのに…」
目を合わさずずっと俯いている息吹を抱き上げると床の上に座り、背中を撫でてやると嗚咽が漏れた。
…母から捨てられたことを忘れたことはなかっただろう。
妖と人の考え方は違う。
妖は誕生日など気にしない。
だが、息吹は違う。
背中に腕が回ってくると感情が爆発したのか声を殺して子供のように泣きじゃくり、主さまは和紙を引き寄せて溢れる涙を拭いてやった。
「餓鬼が。泣き止まないと俺が山姫たちに怒られる。ほら、鼻を噛め」
「うん…。ちーん!」
思いきり鼻を噛み、胸に頭をあずけてくると、小さな声で驚きの一言を放った。
「私…主さまと同じ誕生日だったらいいな…」
…息吹が捨てられていた季節がやってくる。

