「主さま、今夜の百鬼夜行は私にもお供させて下さい」
陽が沈み、自室から出て来た主さまの顔は眉根を寄せて不機嫌全開で、百鬼たちがまごつく中雪女は平然と話しかけた。
「勝手にしろ」
「百鬼夜行を終えた後息吹さんの元を訪ねてみては?きっと喜びますよ」
「…お前は俺とあれのことを知っているのか?」
「知ってるも何もばればれですよ。ただ主さまが育てたというだけであんなに執着はしないでしょう。押してばかりでは駄目ですよ、時には引いて“おや?”と思わせなければ」
ばればれだと聞き、主さまの顔が赤くなると雪女は主さまの髪紐を指した。
「さっきだってお揃いの髪紐で嬉しかったんでしょう?そういうのは口に出さないと伝わらないし、主さまが不器用なのは知っていますけど、人の寿命は早いのです。それを踏まえ、後悔のない選択を」
「…」
「おお雪女じゃないか!こっちに来い!」
わらわらと妖たちが雪女に群がり、息吹がここに来るまでは皆の注目の的だった雪女は袖で口元を隠して笑うと主さまの傍から離れた。
「お、おい、もっと俺に助言を…」
「自分でお考えくださいな」
――雪女はいつもそうだ。
気になることを言っては明確な答えを教えず、惑わせる。
それも雪女や雪男の性質だとはわかっていてもいらっとした主さまは鵺と遊んでいた雪男に煙管を投げつけた。
「いでっ!な、何すんだよ!」
「お前の母は相変わらず意地が悪い。行くぞ」
「…忘れてるかもしんねえけど…俺、息吹に告白したんだぜ。息吹だって俺を意識してるし主さまに全然劣ってないんだからな」
「…お前が…息吹が好いている男なのか?」
主さまの瞳に蒼白い炎がじわりと沸き、雪男は後ずさりしながら額に冷や汗を浮かべた。
「ち、力ずくは無しだぜ主さま!心で勝負だ!」
「心、だと…?」
…息吹は少なくとも唇は許してくれる。
身体が触れ合えば想いも伝わるはずだ。
そうしたいのに、未だに許してくれるのは唇だけ。
「俺だって…あったかくなりたい」
雪男がぽつりと呟き、主さまと同じように眉根を絞った。
陽が沈み、自室から出て来た主さまの顔は眉根を寄せて不機嫌全開で、百鬼たちがまごつく中雪女は平然と話しかけた。
「勝手にしろ」
「百鬼夜行を終えた後息吹さんの元を訪ねてみては?きっと喜びますよ」
「…お前は俺とあれのことを知っているのか?」
「知ってるも何もばればれですよ。ただ主さまが育てたというだけであんなに執着はしないでしょう。押してばかりでは駄目ですよ、時には引いて“おや?”と思わせなければ」
ばればれだと聞き、主さまの顔が赤くなると雪女は主さまの髪紐を指した。
「さっきだってお揃いの髪紐で嬉しかったんでしょう?そういうのは口に出さないと伝わらないし、主さまが不器用なのは知っていますけど、人の寿命は早いのです。それを踏まえ、後悔のない選択を」
「…」
「おお雪女じゃないか!こっちに来い!」
わらわらと妖たちが雪女に群がり、息吹がここに来るまでは皆の注目の的だった雪女は袖で口元を隠して笑うと主さまの傍から離れた。
「お、おい、もっと俺に助言を…」
「自分でお考えくださいな」
――雪女はいつもそうだ。
気になることを言っては明確な答えを教えず、惑わせる。
それも雪女や雪男の性質だとはわかっていてもいらっとした主さまは鵺と遊んでいた雪男に煙管を投げつけた。
「いでっ!な、何すんだよ!」
「お前の母は相変わらず意地が悪い。行くぞ」
「…忘れてるかもしんねえけど…俺、息吹に告白したんだぜ。息吹だって俺を意識してるし主さまに全然劣ってないんだからな」
「…お前が…息吹が好いている男なのか?」
主さまの瞳に蒼白い炎がじわりと沸き、雪男は後ずさりしながら額に冷や汗を浮かべた。
「ち、力ずくは無しだぜ主さま!心で勝負だ!」
「心、だと…?」
…息吹は少なくとも唇は許してくれる。
身体が触れ合えば想いも伝わるはずだ。
そうしたいのに、未だに許してくれるのは唇だけ。
「俺だって…あったかくなりたい」
雪男がぽつりと呟き、主さまと同じように眉根を絞った。

