山姫と雪女と3人でいつものように主さまの屋敷を掃除し、雪女が時折花瓶や掛け軸を眺めてはここで暮らしていた日々を懐かしんだ。
「懐かしい…。私も今氷雨が寝床にしている部屋に住んでいたんですよ」
「へえ…じゃあ雪女さんはここで主さまと…」
「主さまはあの部屋に1度も来たことがなかったから安心して下さいね」
からかわれ、顔が赤くなってしまった息吹は最後に誰も入ることのできない主さまの部屋の襖をいきなり開けた。
「主さまー、お掃除させて」
「…眠たい。後にしろ」
「今したいの!もう随分お掃除してないでしょ?私に任せて!」
――この部屋に無断で入った者は皆無に等しい。
面白半分で主さまの部屋に入り、僅かな変化にもすぐに気付く主さまに命を奪われた妖も数多く、いつしか誰も主さまの部屋に入ろうとはしなくなっていたのに――
「…少しだけ羨ましい」
「そうだねえ、あたしも主さまの部屋に入れるようになったのは片手で数える位で、それも息吹がここに来てからだからねえ」
少しだけ開いた襖の置くでは息吹が雑巾を手に畳を拭いていて、主さまは縁側に出て煙管を噛みながら寝転び、その様子を見ていた。
…なんとも言えない優しい瞳で。
だが山姫に見られていることに気付いた主さまはすぐに庭の方に背を向けてしまった。
「ぶふっ、主さまは本当に可愛いねえ」
「私はそなたの方が可愛いと思うが」
「!な、何を言うんだい、あっちへ行きな!」
積極的な晴明の姿勢に雪女の瞳が丸くなり、息吹がちょこまか動く姿と山姫がてきぱきと動く姿を楽しく見守っていた晴明は雪女にこそりと話しかけた。
「私は青二才だと思うか?」
「色男に成長したと思うわよ」
「そうだろう?男とて恋をすると色気が増すものだ」
「な、なんの話をしてるんだい!?」
――わいのわいのと騒ぐ山姫たちの会話に加わりたかったのだが、息吹は柱を乾拭きしながら柱に残る小さな傷に瞳を細めた。
「これって…」
「お前が幼かった頃の背の高さをそれで計っていた。…懐かしいな」
あの頃はまさか、こんな風に息吹を想うようになるなんて――
「懐かしい…。私も今氷雨が寝床にしている部屋に住んでいたんですよ」
「へえ…じゃあ雪女さんはここで主さまと…」
「主さまはあの部屋に1度も来たことがなかったから安心して下さいね」
からかわれ、顔が赤くなってしまった息吹は最後に誰も入ることのできない主さまの部屋の襖をいきなり開けた。
「主さまー、お掃除させて」
「…眠たい。後にしろ」
「今したいの!もう随分お掃除してないでしょ?私に任せて!」
――この部屋に無断で入った者は皆無に等しい。
面白半分で主さまの部屋に入り、僅かな変化にもすぐに気付く主さまに命を奪われた妖も数多く、いつしか誰も主さまの部屋に入ろうとはしなくなっていたのに――
「…少しだけ羨ましい」
「そうだねえ、あたしも主さまの部屋に入れるようになったのは片手で数える位で、それも息吹がここに来てからだからねえ」
少しだけ開いた襖の置くでは息吹が雑巾を手に畳を拭いていて、主さまは縁側に出て煙管を噛みながら寝転び、その様子を見ていた。
…なんとも言えない優しい瞳で。
だが山姫に見られていることに気付いた主さまはすぐに庭の方に背を向けてしまった。
「ぶふっ、主さまは本当に可愛いねえ」
「私はそなたの方が可愛いと思うが」
「!な、何を言うんだい、あっちへ行きな!」
積極的な晴明の姿勢に雪女の瞳が丸くなり、息吹がちょこまか動く姿と山姫がてきぱきと動く姿を楽しく見守っていた晴明は雪女にこそりと話しかけた。
「私は青二才だと思うか?」
「色男に成長したと思うわよ」
「そうだろう?男とて恋をすると色気が増すものだ」
「な、なんの話をしてるんだい!?」
――わいのわいのと騒ぐ山姫たちの会話に加わりたかったのだが、息吹は柱を乾拭きしながら柱に残る小さな傷に瞳を細めた。
「これって…」
「お前が幼かった頃の背の高さをそれで計っていた。…懐かしいな」
あの頃はまさか、こんな風に息吹を想うようになるなんて――

