「久々に会ったのだから散歩に付き合ってちょうだい」
なるべくなら息吹と主さまを2人きりにさせたくなかったのだが、母たっての希望を無下に断るわけにもいかず、雪男は1度息吹の手をぎゅっと握ると小声で注意を呼びかけた。
「なんかされそうになったら大声出せよ」
「え、う、うん、わかった」
相変わらずそわそわしっぱなしだった主さまは2人が山の奥の方へ消えてゆくと、まだ消えた方向を見ている息吹の髪を軽く引っ張った。
「何故怒っている?」
「主さまが私の襁褓を替えたとか言うからでしょっ?襁褓って…私が赤ちゃんの頃でしょ、恥ずかしいからやめてよ」
「事実じゃないか。晴明がお前を連れ去るまでは俺がお前の襁褓を替えたり風呂に入れたり一緒に寝てやったりしてたんだからな」
「!全部小さい頃のことだし!もうっ、次またその話したら主さまのこと嫌いになるから!」
「!」
それだけは避けたい主さまが閉口すると、息吹は屋敷に引き返しながら雪女を話題にした。
「雪女さんってすごく良い妖だね。雪ちゃんのお父さんのことが今でも好きなんだって。憧れちゃうな」
「それが雪女雪男の本質だ。それに…あいつらだけじゃないぞ。他の妖だって…」
「え?今なにか言った?」
肝心なところで声が小さくなってしまい、自身に憤慨しながらも傍に咲いていた桃色の花の茎を折り、躊躇しながら息吹に差し出した。
「私に…くれるの?」
「…お前に似合うと思う」
今まで主さまに何かをもらったことがなく、息吹は花を受け取ると主さまを見上げて満面の笑顔で微笑んだ。
「ありがとう!大切にするね!」
「…そんなのいつでも贈ってやる」
息吹を追い越して屋敷へと戻って行った主さまは、広間で山姫をからかいまくっていた晴明と目が合うや否や…看破された。
「何か悪戯をしたような顔をしているが、よもや息吹に何かしたのではあるまいな」
「…お前は千里眼でも持っているのか?」
「否定すればいいものを。そこがそなたの可愛いところだな」
そしてまた晴明からからかわれ、ふてくされた。
なるべくなら息吹と主さまを2人きりにさせたくなかったのだが、母たっての希望を無下に断るわけにもいかず、雪男は1度息吹の手をぎゅっと握ると小声で注意を呼びかけた。
「なんかされそうになったら大声出せよ」
「え、う、うん、わかった」
相変わらずそわそわしっぱなしだった主さまは2人が山の奥の方へ消えてゆくと、まだ消えた方向を見ている息吹の髪を軽く引っ張った。
「何故怒っている?」
「主さまが私の襁褓を替えたとか言うからでしょっ?襁褓って…私が赤ちゃんの頃でしょ、恥ずかしいからやめてよ」
「事実じゃないか。晴明がお前を連れ去るまでは俺がお前の襁褓を替えたり風呂に入れたり一緒に寝てやったりしてたんだからな」
「!全部小さい頃のことだし!もうっ、次またその話したら主さまのこと嫌いになるから!」
「!」
それだけは避けたい主さまが閉口すると、息吹は屋敷に引き返しながら雪女を話題にした。
「雪女さんってすごく良い妖だね。雪ちゃんのお父さんのことが今でも好きなんだって。憧れちゃうな」
「それが雪女雪男の本質だ。それに…あいつらだけじゃないぞ。他の妖だって…」
「え?今なにか言った?」
肝心なところで声が小さくなってしまい、自身に憤慨しながらも傍に咲いていた桃色の花の茎を折り、躊躇しながら息吹に差し出した。
「私に…くれるの?」
「…お前に似合うと思う」
今まで主さまに何かをもらったことがなく、息吹は花を受け取ると主さまを見上げて満面の笑顔で微笑んだ。
「ありがとう!大切にするね!」
「…そんなのいつでも贈ってやる」
息吹を追い越して屋敷へと戻って行った主さまは、広間で山姫をからかいまくっていた晴明と目が合うや否や…看破された。
「何か悪戯をしたような顔をしているが、よもや息吹に何かしたのではあるまいな」
「…お前は千里眼でも持っているのか?」
「否定すればいいものを。そこがそなたの可愛いところだな」
そしてまた晴明からからかわれ、ふてくされた。

