「主さまー」
その声を今か今かと待ち受けていた主さまは、それまで庭をうろうろしていたのだが…
声が聴こえるや否や自室に駆け込み、息吹が自ら部屋に入って来るように仕向けた。
「ほんっと不器用だねえ」
「母様ー、来まし………た…」
息を切らしながら庭の方から現れた息吹が立ち止まった。
理由は、山姫と雪男の間に座っている物静かそうな美女の存在だ。
その顔立ち…
真っ白な肌に真っ青な髪、真っ青な瞳…柔和な美貌…
「雪女さん…?」
「母さん、この女の子が息吹。息吹も早く座れよ」
「えっと…う、うん」
「まあ…可愛らしい。氷雨、可愛らしいお嫁さんを貰えてよかったわね」
「!い、いや…嫁さんになってもらえるかどうかは…まだだし…」
雪男が口ごもり、息吹の顔が赤くなり、そして…主さまの部屋からは大きな咳払い。
はっとなった息吹は躊躇なく主さまの部屋の襖を開けて雪女を驚かせた。
「あ、そこへ入っては…」
「息吹は許されてるんだよ。あたしたちは未だに入れないんだけどねえ」
「主さま、見ーつけた。まだ寝てるの?今日私がここに来るのは知ってたでしょ?」
「…まだ朝じゃないか。俺は眠たいんだ」
わざと眠たそうな声を出し、皆が首を傾けて主さまの部屋を覗きこむと、息吹が寝転がっている主さまの傍らに座って肩を揺すっていた。
「起きてよ主さま。雪女さんを紹介してくれるんでしょ?」
「…今雪男から紹介されただろうが。…嫁として」
「お、お嫁さんなんかまだまだ行かないもん。ねっ、父様」
「そうだねえ、氷漬けにされてはたまらぬからな」
雪女が唇を尖らせる息子に目を遣り、袖で口元を隠しながらひそりと笑った。
「もしかして…あなたの恋敵は主さまなの?」
「…そうだけど。でも!母さんに会わせときたかったし!」
「ねえ主さまったら!おーきーてー!」
息吹にその親子の会話は届いておらず、主さまは息吹に肩を揺すられ、息吹に触ってもらえていることにささやかな優越感を感じていた。
その声を今か今かと待ち受けていた主さまは、それまで庭をうろうろしていたのだが…
声が聴こえるや否や自室に駆け込み、息吹が自ら部屋に入って来るように仕向けた。
「ほんっと不器用だねえ」
「母様ー、来まし………た…」
息を切らしながら庭の方から現れた息吹が立ち止まった。
理由は、山姫と雪男の間に座っている物静かそうな美女の存在だ。
その顔立ち…
真っ白な肌に真っ青な髪、真っ青な瞳…柔和な美貌…
「雪女さん…?」
「母さん、この女の子が息吹。息吹も早く座れよ」
「えっと…う、うん」
「まあ…可愛らしい。氷雨、可愛らしいお嫁さんを貰えてよかったわね」
「!い、いや…嫁さんになってもらえるかどうかは…まだだし…」
雪男が口ごもり、息吹の顔が赤くなり、そして…主さまの部屋からは大きな咳払い。
はっとなった息吹は躊躇なく主さまの部屋の襖を開けて雪女を驚かせた。
「あ、そこへ入っては…」
「息吹は許されてるんだよ。あたしたちは未だに入れないんだけどねえ」
「主さま、見ーつけた。まだ寝てるの?今日私がここに来るのは知ってたでしょ?」
「…まだ朝じゃないか。俺は眠たいんだ」
わざと眠たそうな声を出し、皆が首を傾けて主さまの部屋を覗きこむと、息吹が寝転がっている主さまの傍らに座って肩を揺すっていた。
「起きてよ主さま。雪女さんを紹介してくれるんでしょ?」
「…今雪男から紹介されただろうが。…嫁として」
「お、お嫁さんなんかまだまだ行かないもん。ねっ、父様」
「そうだねえ、氷漬けにされてはたまらぬからな」
雪女が唇を尖らせる息子に目を遣り、袖で口元を隠しながらひそりと笑った。
「もしかして…あなたの恋敵は主さまなの?」
「…そうだけど。でも!母さんに会わせときたかったし!」
「ねえ主さまったら!おーきーてー!」
息吹にその親子の会話は届いておらず、主さまは息吹に肩を揺すられ、息吹に触ってもらえていることにささやかな優越感を感じていた。

