華月は鵜目姫の身体を抱いて素早くその場から立ち去りながら、気を失った鵜目姫を見下ろした。
『鵜目姫…』
はじめて出会った時よりも格段に愛しく感じるのは何故だろう?
ざわざわと胸騒ぎのようなものがするのは、何故だろう?
「息吹!息吹なのか?!」
――主さまが声を張り上げると、鵜目姫の中の息吹はそれに対してすぐに声を返した。
「そうだよ、どうして主さまがそこに居るの?華月さんの中に居るの!?」
「どうして華月を知って…」
「鵜目姫と鬼八さんが教えてくれたの。特に鵜目姫さんが。主さま大丈夫?怪我は治ったの!?」
心配してくれる声に一気にほっとして胸があたたかくなった主さまは空を駆け上がってどこかへ向かう華月を止められない。
「怪我は治った。それより息吹…お前は鵜目姫の一族なんだな。人間…ではないのか?」
「…わかんない。人間だと思うよ、私にはなんにも力がないもん…」
「…俺が必ずどうにかしてやるから、心配するな」
…声が止んだ。
それがとても気になって怖ず怖ずと声をかけようとすると――
「主さま…私…さっき、鬼八さんと…」
「…お前じゃない。これは鵜目姫と鬼八の物語だ。お前は俺と…」
「…主さま?」
言いかけた時、華月はさらに人里離れた山奥に1軒だけ建っている小さな家の前で舞い降りた。
どうやらここで暮らしているらしく、中へ入ると限りなくそっと鵜目姫を床の上に寝かせて掛け布団をかけてやった。
…本当に、まるで自分と息吹のようで既視感が主さまを襲う。
さっきは自分で“お前じゃない”と言っておきながらも、
息吹は鵜目姫の中から鬼八と鵜目姫が愛し合った姿を見たのだろう。
それが許せなくてつらくて、主さまの身体からは青白い炎が噴き出て、華月は首を傾げながら胸を押さえた。
『…すぐに鬼八が追って来る。だが鵜目姫…俺はあなたを得るために、鬼八と戦う』
その手には、天叢雲。
だがいつものように軽快には話さず、沈黙したままだ。
「主さま…怖いよ…」
「大丈夫だ。俺を信じろ」
その頃鬼八は――
『鵜目姫…』
はじめて出会った時よりも格段に愛しく感じるのは何故だろう?
ざわざわと胸騒ぎのようなものがするのは、何故だろう?
「息吹!息吹なのか?!」
――主さまが声を張り上げると、鵜目姫の中の息吹はそれに対してすぐに声を返した。
「そうだよ、どうして主さまがそこに居るの?華月さんの中に居るの!?」
「どうして華月を知って…」
「鵜目姫と鬼八さんが教えてくれたの。特に鵜目姫さんが。主さま大丈夫?怪我は治ったの!?」
心配してくれる声に一気にほっとして胸があたたかくなった主さまは空を駆け上がってどこかへ向かう華月を止められない。
「怪我は治った。それより息吹…お前は鵜目姫の一族なんだな。人間…ではないのか?」
「…わかんない。人間だと思うよ、私にはなんにも力がないもん…」
「…俺が必ずどうにかしてやるから、心配するな」
…声が止んだ。
それがとても気になって怖ず怖ずと声をかけようとすると――
「主さま…私…さっき、鬼八さんと…」
「…お前じゃない。これは鵜目姫と鬼八の物語だ。お前は俺と…」
「…主さま?」
言いかけた時、華月はさらに人里離れた山奥に1軒だけ建っている小さな家の前で舞い降りた。
どうやらここで暮らしているらしく、中へ入ると限りなくそっと鵜目姫を床の上に寝かせて掛け布団をかけてやった。
…本当に、まるで自分と息吹のようで既視感が主さまを襲う。
さっきは自分で“お前じゃない”と言っておきながらも、
息吹は鵜目姫の中から鬼八と鵜目姫が愛し合った姿を見たのだろう。
それが許せなくてつらくて、主さまの身体からは青白い炎が噴き出て、華月は首を傾げながら胸を押さえた。
『…すぐに鬼八が追って来る。だが鵜目姫…俺はあなたを得るために、鬼八と戦う』
その手には、天叢雲。
だがいつものように軽快には話さず、沈黙したままだ。
「主さま…怖いよ…」
「大丈夫だ。俺を信じろ」
その頃鬼八は――

