一晩鬼八と何度も愛を重ねた鵜目姫はこれ以上はないという幸せに包まれていた。
これで真の夫婦になれたし、鬼八との子もいずれ授かることができるだろう。
何の不安を抱くこともない。
鬼八と一緒に居ることができるのならば…何も怖くはない。
『鵜目姫、ちょっと外を見て来るからあなたは中に居て』
『はい…。早く帰って来てくださいね』
『ふふ、うん』
すり、と頬ずりをしてきた鬼八のやわらかい髪を撫でて家を出て行く鬼八の背中を見送ると、鵜目姫は洞窟の奥の温泉へ行こうと家を出た。
『鬼八様…』
鬼族や神族など関係ない。
今まで隔たっていたものは鬼八に愛されたことですべて霧散した。
こんなに幸せでいいのだろうか?
――すると鵜目姫の鼻腔をくすぐる甘い香りが洞窟の出入り口からしたので、誘われるがままにそちらへ向かって外を見下ろすと…
近くには泉と小川が混在している場所があり、そこには色とりどりの花々が咲き乱れていた。
『まあ…すごく綺麗…!』
あそこへ行ってみたい。
けれど鬼八からはここから出てはいけないと注意をされている。
だけど、あの花を摘んで家を飾ったら、あの家はもっともっと素敵なものになるし、鬼八も喜んでくれるかもしれない。
…そう考えた鵜目姫は意を決して…
下へと通じる細い小道を伝って、洞窟から離れた。
鵜目姫は気付いていなかったが、鬼八の結界は広範囲にわたって張り巡らされており、この時点ではまだ鵜目姫は華月に勘付かれてはいなかった。
『素敵…すごく良い香り…』
まるで蝶のように花畑に吸い寄せられると、様々な色の花を摘むのに夢中になりながら鬼八を想った。
『あの方の心を癒してあげることができるかしら…』
泉は底に沈んでいる小石までも全て見える程の透明度で、花を摘み取ると泉の前に座って中を覗き込んだ。
『綺麗だわ…。鬼八様はここを知っているのかしら。後で一緒にここへまた来たいわ』
――一瞬水面がぐにゃりと歪んだ。
身を乗り出して中を覗き込んだが…また水面は静かになった。
『…?』
捉えられた…。
これで真の夫婦になれたし、鬼八との子もいずれ授かることができるだろう。
何の不安を抱くこともない。
鬼八と一緒に居ることができるのならば…何も怖くはない。
『鵜目姫、ちょっと外を見て来るからあなたは中に居て』
『はい…。早く帰って来てくださいね』
『ふふ、うん』
すり、と頬ずりをしてきた鬼八のやわらかい髪を撫でて家を出て行く鬼八の背中を見送ると、鵜目姫は洞窟の奥の温泉へ行こうと家を出た。
『鬼八様…』
鬼族や神族など関係ない。
今まで隔たっていたものは鬼八に愛されたことですべて霧散した。
こんなに幸せでいいのだろうか?
――すると鵜目姫の鼻腔をくすぐる甘い香りが洞窟の出入り口からしたので、誘われるがままにそちらへ向かって外を見下ろすと…
近くには泉と小川が混在している場所があり、そこには色とりどりの花々が咲き乱れていた。
『まあ…すごく綺麗…!』
あそこへ行ってみたい。
けれど鬼八からはここから出てはいけないと注意をされている。
だけど、あの花を摘んで家を飾ったら、あの家はもっともっと素敵なものになるし、鬼八も喜んでくれるかもしれない。
…そう考えた鵜目姫は意を決して…
下へと通じる細い小道を伝って、洞窟から離れた。
鵜目姫は気付いていなかったが、鬼八の結界は広範囲にわたって張り巡らされており、この時点ではまだ鵜目姫は華月に勘付かれてはいなかった。
『素敵…すごく良い香り…』
まるで蝶のように花畑に吸い寄せられると、様々な色の花を摘むのに夢中になりながら鬼八を想った。
『あの方の心を癒してあげることができるかしら…』
泉は底に沈んでいる小石までも全て見える程の透明度で、花を摘み取ると泉の前に座って中を覗き込んだ。
『綺麗だわ…。鬼八様はここを知っているのかしら。後で一緒にここへまた来たいわ』
――一瞬水面がぐにゃりと歪んだ。
身を乗り出して中を覗き込んだが…また水面は静かになった。
『…?』
捉えられた…。

