息吹は人間なので、主さまたちのような妖とは違って食事を摂らなければならないので狐の式神を庭に放つと獣を狩りに行かせた。
「おい息吹」
「…」
「息吹、聞こえていないのか?」
主さまが必死に話しかけるが、息吹は背を向けて霊峰とも呼べる高千穂の山脈を縁側から眺めていた。
「いい所だねえ。今度は父様とゆっくりここへ来ようね」
「はいっ」
――晴明を見上げた息吹の表情といったら。
信頼、愛情…
どうあっても息吹に慕ってほしい主さまの作戦はものの見事に全て空振りしていた。
「おや主さま、もじもじしてどうした?厠ならここを出て…」
「それ位知っている!」
「絡新婦さんとも男女の関係だったんだし、ここは主さまの別宅みたいなものだもんね」
主さまの方を見ずに言ってのけた息吹が晴明に膝枕をしてもらいながら欠伸をした。
全ての行いが主さまを最高にいらいらさせていて、邪眼が発動しそうになって晴明が息吹を袖で庇った。
「やめろ。私も少々からかいすぎた」
「…」
「そなたはまるで子供だな。ん?おかしいぞ、私の方が主さまに育てられたというのに今や立場は逆転しているのか?」
「ふざけるな!誰がお前に育てられてなど…」
「ふふっ、主さまと父様の会話って面白い!」
息吹が楽しそうに笑ったので2人は言い合いを止めて、駆けてくる式神の口に咥えられていた雉を受け取ると、腕まくりをした。
「息吹、父様と雉鍋を作ろうか。山菜はその辺で摘んでこよう」
「はい!主さまも一緒に行く?」
「あ、ああ」
息吹の機嫌が直ってほっとした主さまは自身が息吹に振り回されていることに全く気付いていない。
気付いているのは、晴明だ。
「十六夜め、面白いほど私の罠に引っかかってくれる。さて次はどうするかな」
「?父様、なにか言った?」
「いいや、別に。私も早く幽玄町に戻って山姫の手料理が食べたい。あと山姫も」
「!ち、父様、やっぱり母様のこと…」
「ふふふ」
真相を語らず息吹を焦らしに焦らして、ついでに主さまも焦らして大満足。
「おい息吹」
「…」
「息吹、聞こえていないのか?」
主さまが必死に話しかけるが、息吹は背を向けて霊峰とも呼べる高千穂の山脈を縁側から眺めていた。
「いい所だねえ。今度は父様とゆっくりここへ来ようね」
「はいっ」
――晴明を見上げた息吹の表情といったら。
信頼、愛情…
どうあっても息吹に慕ってほしい主さまの作戦はものの見事に全て空振りしていた。
「おや主さま、もじもじしてどうした?厠ならここを出て…」
「それ位知っている!」
「絡新婦さんとも男女の関係だったんだし、ここは主さまの別宅みたいなものだもんね」
主さまの方を見ずに言ってのけた息吹が晴明に膝枕をしてもらいながら欠伸をした。
全ての行いが主さまを最高にいらいらさせていて、邪眼が発動しそうになって晴明が息吹を袖で庇った。
「やめろ。私も少々からかいすぎた」
「…」
「そなたはまるで子供だな。ん?おかしいぞ、私の方が主さまに育てられたというのに今や立場は逆転しているのか?」
「ふざけるな!誰がお前に育てられてなど…」
「ふふっ、主さまと父様の会話って面白い!」
息吹が楽しそうに笑ったので2人は言い合いを止めて、駆けてくる式神の口に咥えられていた雉を受け取ると、腕まくりをした。
「息吹、父様と雉鍋を作ろうか。山菜はその辺で摘んでこよう」
「はい!主さまも一緒に行く?」
「あ、ああ」
息吹の機嫌が直ってほっとした主さまは自身が息吹に振り回されていることに全く気付いていない。
気付いているのは、晴明だ。
「十六夜め、面白いほど私の罠に引っかかってくれる。さて次はどうするかな」
「?父様、なにか言った?」
「いいや、別に。私も早く幽玄町に戻って山姫の手料理が食べたい。あと山姫も」
「!ち、父様、やっぱり母様のこと…」
「ふふふ」
真相を語らず息吹を焦らしに焦らして、ついでに主さまも焦らして大満足。

