息吹が部屋に戻ると、主さまは畳の上に置いた透明の球体を覗き込んでいる所だった。
「父様、これはなんなの?」
「これは水晶球だよ」
晴明と主さまと息吹は水晶球を囲んで座った。
外から入って来る陽の光が水晶球に反射して息吹の顔を白く照らし出すと、主さまはそんな息吹にうっかり見惚れてしまって、渋面を作った。
「何かするなら早くしろ。俺は眠い」
「さっきまで寝てたんでしょ?また寝るの?つまんない」
…晴明が居ないのであれば、息吹を今日中にでも自分のものにする自信があるが…この半妖、一筋縄にはいかない。
もちろんこちらの思惑にも気付いているだろうし、どうあっても一泡吹かせてやりたい。
「よく見てごらん」
晴明が水晶球を包み込むようにして両手を翳すと、徐々に徐々に、ゆらゆらと何かが見え始めた。
「?これは…お花?…庭…あ、これって主さまのお屋敷の…」
晴明はここへ来る前に皆が集まる大広間の掛け軸をかけてある場所に対となる水晶球を置いてきていた。
その映像が、こちらの水晶球に映っているのだ。
「息吹、何か話しかけてごらん」
「え?えっと、えっと…母様、居ますか?母様ー」
何度も呼びかけていると、息吹の声を聞きつけた山姫がきょろきょろしている姿が映り、さらに息吹は声をかけ続けた。
「母様、ここだよ!掛け軸のところを見て!」
『え…、息吹!?これはどうなって…」』
「山姫、こちらは高千穂の主さま一行だ。水晶球越しでもそなたは美しいな」
山姫を誉めた晴明がにこっと微笑みかけると主さまの屋敷を守っている山姫の顔が劇的に赤くなった。
『ば…馬鹿言うんじゃないよ!ちゃんと息吹と主さまを守ってるんだろうね?息吹に傷ひとつつけでもしたら許さないからね!』
「私が傷をつけたいのはひとりだけだよ。それが誰だか知りたいかい?」
『!い、言ってる意味がよくわからないね!』
照れまくって叫ぶ山姫をひとしきりからかった晴明がくつくつと笑い、主さまは身体を傾けて水晶球に映ると山姫に問うた。
「俺以外の男に肌を見せたのはいつのことだ?」
…皆が凍りついた。
「父様、これはなんなの?」
「これは水晶球だよ」
晴明と主さまと息吹は水晶球を囲んで座った。
外から入って来る陽の光が水晶球に反射して息吹の顔を白く照らし出すと、主さまはそんな息吹にうっかり見惚れてしまって、渋面を作った。
「何かするなら早くしろ。俺は眠い」
「さっきまで寝てたんでしょ?また寝るの?つまんない」
…晴明が居ないのであれば、息吹を今日中にでも自分のものにする自信があるが…この半妖、一筋縄にはいかない。
もちろんこちらの思惑にも気付いているだろうし、どうあっても一泡吹かせてやりたい。
「よく見てごらん」
晴明が水晶球を包み込むようにして両手を翳すと、徐々に徐々に、ゆらゆらと何かが見え始めた。
「?これは…お花?…庭…あ、これって主さまのお屋敷の…」
晴明はここへ来る前に皆が集まる大広間の掛け軸をかけてある場所に対となる水晶球を置いてきていた。
その映像が、こちらの水晶球に映っているのだ。
「息吹、何か話しかけてごらん」
「え?えっと、えっと…母様、居ますか?母様ー」
何度も呼びかけていると、息吹の声を聞きつけた山姫がきょろきょろしている姿が映り、さらに息吹は声をかけ続けた。
「母様、ここだよ!掛け軸のところを見て!」
『え…、息吹!?これはどうなって…」』
「山姫、こちらは高千穂の主さま一行だ。水晶球越しでもそなたは美しいな」
山姫を誉めた晴明がにこっと微笑みかけると主さまの屋敷を守っている山姫の顔が劇的に赤くなった。
『ば…馬鹿言うんじゃないよ!ちゃんと息吹と主さまを守ってるんだろうね?息吹に傷ひとつつけでもしたら許さないからね!』
「私が傷をつけたいのはひとりだけだよ。それが誰だか知りたいかい?」
『!い、言ってる意味がよくわからないね!』
照れまくって叫ぶ山姫をひとしきりからかった晴明がくつくつと笑い、主さまは身体を傾けて水晶球に映ると山姫に問うた。
「俺以外の男に肌を見せたのはいつのことだ?」
…皆が凍りついた。

