結局息吹は晴明と主さまと一緒に寝てしまったので、同室になってうきうきしていた雪男はかなりがっくりきていた。
「昨晩は…その…誰と寝たんだ?」
「主さまと父様」
「え!?3人で!?」
「?ぐっすり眠れたよ」
…主さまは全く眠れなかったわけだが、そのことを知る由もない息吹は顔を洗って朝日の上った快晴の空を見上げた。
「気持ちいいね、お散歩したいな」
「晴明の結界は宿を中心に円状になってるからそこから出ると鬼八がやって来るぞ」
夜明けまでどんちゃん騒ぎをしていた妖たちは今は宿の床下や天井裏や、思い思いの場所で眠りについている時間帯で、妖力の強い者だけは日中も起きていられるが、力は半減する。
息吹は雪男の袖を引っ張って宿に向かって歩きながら唇を尖らせた。
「鬼八さんに会って話をすればわかってもらえるんじゃないかな。あ、主さまたちには内緒だよ、怒られちゃうから」
さらさらと揺れる美しい黒髪にためらいながら触れて、息吹を立ち止まらせた。
「雪ちゃん?」
「お前を鬼八の嫁になんかさせないからな。俺が守ってやっから」
「うん、ありがとう雪ちゃん」
――雪男の真っ白でいてとても綺麗な美貌が笑んで、息吹がついどきっとすると、今度は雪男が先導して息吹の手を引きながら歩き出した。
「雪ちゃんってすっごく綺麗な顔してるよね。好きな人とかいるの?」
「えっ?あー…、まあ…居るけど…」
振り返らずに言うと、くんと手が引っ張られたので振り返ってみれば、息吹は驚きに瞳を見開いていた。
「ほんとに?!父様もね、好きな人が居るんだって。雪ちゃんもなの?いいな、羨ましいな」
「…息吹は居ないのか?」
「うん、居ないの。…気になってる人は居るんだけど」
互いに何度も立ち止まってしまうので一向に宿に着くことができず、心配した晴明が息吹を迎えにやって来て、繋がれた手をやんわりと外しにかかった。
「手が凍傷になってしまう。主さまの部屋に戻ろう。雪男は夜に備えて寝るように」
「…わかったよ」
渋々返事をして、決めた。
息吹に告白しよう、と。
「昨晩は…その…誰と寝たんだ?」
「主さまと父様」
「え!?3人で!?」
「?ぐっすり眠れたよ」
…主さまは全く眠れなかったわけだが、そのことを知る由もない息吹は顔を洗って朝日の上った快晴の空を見上げた。
「気持ちいいね、お散歩したいな」
「晴明の結界は宿を中心に円状になってるからそこから出ると鬼八がやって来るぞ」
夜明けまでどんちゃん騒ぎをしていた妖たちは今は宿の床下や天井裏や、思い思いの場所で眠りについている時間帯で、妖力の強い者だけは日中も起きていられるが、力は半減する。
息吹は雪男の袖を引っ張って宿に向かって歩きながら唇を尖らせた。
「鬼八さんに会って話をすればわかってもらえるんじゃないかな。あ、主さまたちには内緒だよ、怒られちゃうから」
さらさらと揺れる美しい黒髪にためらいながら触れて、息吹を立ち止まらせた。
「雪ちゃん?」
「お前を鬼八の嫁になんかさせないからな。俺が守ってやっから」
「うん、ありがとう雪ちゃん」
――雪男の真っ白でいてとても綺麗な美貌が笑んで、息吹がついどきっとすると、今度は雪男が先導して息吹の手を引きながら歩き出した。
「雪ちゃんってすっごく綺麗な顔してるよね。好きな人とかいるの?」
「えっ?あー…、まあ…居るけど…」
振り返らずに言うと、くんと手が引っ張られたので振り返ってみれば、息吹は驚きに瞳を見開いていた。
「ほんとに?!父様もね、好きな人が居るんだって。雪ちゃんもなの?いいな、羨ましいな」
「…息吹は居ないのか?」
「うん、居ないの。…気になってる人は居るんだけど」
互いに何度も立ち止まってしまうので一向に宿に着くことができず、心配した晴明が息吹を迎えにやって来て、繋がれた手をやんわりと外しにかかった。
「手が凍傷になってしまう。主さまの部屋に戻ろう。雪男は夜に備えて寝るように」
「…わかったよ」
渋々返事をして、決めた。
息吹に告白しよう、と。

