正直言ってこんな状況で眠れるわけがない。
主さまと息吹は互いにそう思っていたが、晴明はすでにすやすやと眠っていた。
「ねえ主さま、起きてる?」
ひそ、と小さな声で話しかけると、背中を向けていた主さまが小さな声で返事をした。
「…なんだ」
「眠れないの。…主さまもでしょ?」
晴明を気にしながら主さまの背中に触れると、寝返りを打ってこっちを見た。
「主さま…瞳の中に炎が…」
「…昂っているとこうなる」
――正直に言った主さまがじっと息吹を見つめた。
暗闇の中ずっと起きていたので目が慣れていて、主さまの顔がよく見えた。
「…鬼八さん、来るのかな」
「恐らく今夜は来ない。お前は絶対に結界から出るな」
「うん。主さま、守ってね」
怖ず怖ずと腕を伸ばして主さまの着物の胸元をきゅっと握ると腰に腕が回ってきて、抱き寄せられた。
「ち、父様が起きちゃう…」
「これしきお前が小さい頃よくやっていた。気にするな」
――とは言っても、ぴったりと身体が密着して息ができないほど強く抱きしめられていた。
顔を上げるとすぐそこには主さまの綺麗な唇があって、もう何度も何度も奪われた唇が自然と開いてしまい、主さまの顔がもっと近付いてきた。
「…ねだっているのか?」
「ち、違うもん。主さまやだ、なんか…色っぽい」
「お前の方がよっぽど…」
主さまの唇から牙が見えた。
それもまた昂っている証で、息吹が恥らって俯く。
「主さ…」
「声を出すな。あいつが起きる」
無理難題を吹っかけて唇を重ねてきて、息吹もまた主さまを受け入れた。
心の距離がぐっと近づく。
求められている喜びを感じて、自身に降りかかっている危機すらこの時は忘れていた。
「主さま…」
「早く寝ろ。でないと続きをするぞ」
「ね、寝ます。主さまおやすみなさい」
寝返りを打って背を向けると、今度は晴明の背中に抱き着いた。
…慕われるのが羨ましい。
晴明には絶対に負けたくはない。
主さまと息吹は互いにそう思っていたが、晴明はすでにすやすやと眠っていた。
「ねえ主さま、起きてる?」
ひそ、と小さな声で話しかけると、背中を向けていた主さまが小さな声で返事をした。
「…なんだ」
「眠れないの。…主さまもでしょ?」
晴明を気にしながら主さまの背中に触れると、寝返りを打ってこっちを見た。
「主さま…瞳の中に炎が…」
「…昂っているとこうなる」
――正直に言った主さまがじっと息吹を見つめた。
暗闇の中ずっと起きていたので目が慣れていて、主さまの顔がよく見えた。
「…鬼八さん、来るのかな」
「恐らく今夜は来ない。お前は絶対に結界から出るな」
「うん。主さま、守ってね」
怖ず怖ずと腕を伸ばして主さまの着物の胸元をきゅっと握ると腰に腕が回ってきて、抱き寄せられた。
「ち、父様が起きちゃう…」
「これしきお前が小さい頃よくやっていた。気にするな」
――とは言っても、ぴったりと身体が密着して息ができないほど強く抱きしめられていた。
顔を上げるとすぐそこには主さまの綺麗な唇があって、もう何度も何度も奪われた唇が自然と開いてしまい、主さまの顔がもっと近付いてきた。
「…ねだっているのか?」
「ち、違うもん。主さまやだ、なんか…色っぽい」
「お前の方がよっぽど…」
主さまの唇から牙が見えた。
それもまた昂っている証で、息吹が恥らって俯く。
「主さ…」
「声を出すな。あいつが起きる」
無理難題を吹っかけて唇を重ねてきて、息吹もまた主さまを受け入れた。
心の距離がぐっと近づく。
求められている喜びを感じて、自身に降りかかっている危機すらこの時は忘れていた。
「主さま…」
「早く寝ろ。でないと続きをするぞ」
「ね、寝ます。主さまおやすみなさい」
寝返りを打って背を向けると、今度は晴明の背中に抱き着いた。
…慕われるのが羨ましい。
晴明には絶対に負けたくはない。

