主さまの口づけは数分間にも及んだ。
息が出来なくなって空気を求めて離れようとしても、すぐにまた唇が重なってくる。
…正直に言って、このまま主さまに抱かれてもいい、と思った。
「私のこと…、好き、なの…?」
「…お前はどう思うんだ?どうした、抵抗がなくなってきたぞ」
障子を閉めたとはいっても外から覗きこまれれば乱れた姿を見られてしまう。
雪男に見せつけてやろうかとも一瞬考えたが、主さまは息吹を抱き上げると床を敷いてある部屋に移動して、乱暴に息吹を下ろした。
「きゃっ」
「抵抗されても余計に燃えるが、今お前がどんな顔をしているか教えてやろうか?」
「へ、変な顔、してるの…?」
荒い息の中息吹の瞳をまっすぐ見て、答えた。
「男を誘う魔性の女の瞳をしている。男を狂わせる顔だ。俺以外にそんな顔を見せたら…酷い目に遭わせるぞ」
「主さま…っ」
――ぞくぞくと身体が震えた。
喜びのためか、怖いのか、自分でもわからない。
ただわかっているのは、主さまが自分を求めている、ということ――
「も、駄目…」
「何がだ。俺のことを好きになったか?降参するか?」
「主さま、私…」
――“いいよ”と言いそうになった時、急に主さまが身体を起こして舌打ちをすると、束ねた髪を背中に払いながら部屋から出て行った。
「…?」
「十六夜、息吹はもう寝たか?」
「ああ。…で?お前は何しに来たんだ?」
…晴明だ。
隣室で鬼八を封じるための策を練っていた晴明が主さまと合流して、足音がこちらに近付いて来て慌てて布団を肩まで被ると寝たふりをした。
襖の開く音がして光が漏れて、晴明がじっとこちらを見つめているのもわかった。
「…おい十六夜、悪さをしたのではあるまいな」
「…こんながりがりの餓鬼に悪さなどするものか」
…嘘つき!
さっきあんなことしたくせに!
――そう言いたかったがぐっと堪えて、改めて先程の主さまの激しさを思い出して、息吹は悶えた。
「言っちゃいそうだった…」
“抱いて”と。
息が出来なくなって空気を求めて離れようとしても、すぐにまた唇が重なってくる。
…正直に言って、このまま主さまに抱かれてもいい、と思った。
「私のこと…、好き、なの…?」
「…お前はどう思うんだ?どうした、抵抗がなくなってきたぞ」
障子を閉めたとはいっても外から覗きこまれれば乱れた姿を見られてしまう。
雪男に見せつけてやろうかとも一瞬考えたが、主さまは息吹を抱き上げると床を敷いてある部屋に移動して、乱暴に息吹を下ろした。
「きゃっ」
「抵抗されても余計に燃えるが、今お前がどんな顔をしているか教えてやろうか?」
「へ、変な顔、してるの…?」
荒い息の中息吹の瞳をまっすぐ見て、答えた。
「男を誘う魔性の女の瞳をしている。男を狂わせる顔だ。俺以外にそんな顔を見せたら…酷い目に遭わせるぞ」
「主さま…っ」
――ぞくぞくと身体が震えた。
喜びのためか、怖いのか、自分でもわからない。
ただわかっているのは、主さまが自分を求めている、ということ――
「も、駄目…」
「何がだ。俺のことを好きになったか?降参するか?」
「主さま、私…」
――“いいよ”と言いそうになった時、急に主さまが身体を起こして舌打ちをすると、束ねた髪を背中に払いながら部屋から出て行った。
「…?」
「十六夜、息吹はもう寝たか?」
「ああ。…で?お前は何しに来たんだ?」
…晴明だ。
隣室で鬼八を封じるための策を練っていた晴明が主さまと合流して、足音がこちらに近付いて来て慌てて布団を肩まで被ると寝たふりをした。
襖の開く音がして光が漏れて、晴明がじっとこちらを見つめているのもわかった。
「…おい十六夜、悪さをしたのではあるまいな」
「…こんながりがりの餓鬼に悪さなどするものか」
…嘘つき!
さっきあんなことしたくせに!
――そう言いたかったがぐっと堪えて、改めて先程の主さまの激しさを思い出して、息吹は悶えた。
「言っちゃいそうだった…」
“抱いて”と。

