主さまの百鬼は皆陽気だ。
息吹が落ち込まないようにと総出で庭に出て、何やら楽しそうに踊ったり酒を飲んだりしている。
晴明が全力で張った結界を今まで破った者はなく、だからこそ息吹もようやく安心して主さまの膝に手を置いてしなだれかかった。
「…おい、離れろ」
「やだ、怖いもん」
「…だったら何をされても文句を言うなよ」
「え?」
晴明は隣室で書物を紐解いていて、雪男は仲間たちに誘われて外の大騒ぎに加わっている。
――主さまが腕を伸ばして庭側の障子を閉めた。
息吹はどきっとして、主さまの膝の上に置いていた手を離そうとした。
が、時すでに遅し。
息吹に告白しようと決めていた主さまが息吹を強引に膝に乗せて、ぐっと顔を近付けて、囁いた。
「俺の妻になるのと、俺に食われるのと…お前ならどっちを選ぶ?」
「…えっ?妻って…お嫁さんのこと…?ぬ、主さまは妖で、私は人だもん。私なんかあっという間に死んじゃう…」
――主さまの瞳の中に自分が映りこんでいた。
息遣いも聴こえてくるような距離で、主さまの薄くも綺麗な唇から目が離せなくなった息吹はどきどきしながらか細い声を上げた。
「や、だ、主さま…」
「何もしてない。質問に答えろ息吹。食われるか俺の妻になるか。どっちだ」
「そんな…私まだ殿方を好きになったことなんてないし…また私をからかってるだけでしょ?もう引っかからないんだから!」
明るい口調で返したのに煮えたぎるような想いを言霊に乗せて、息吹の耳元で吐き出した。
「お前が死ぬまでずっと傍に居る。お前は俺以外の男の元に嫁ぐことはできない。俺が邪魔してやる」
「っ、主さ……」
――素直に“愛している”と言えばいいのに、結局主さまは乱暴な手段に出ることしかできず、
口づけをして身体の力を奪うと浴衣の帯を外そうとして背中を向けられて、拒絶された。
「私を抱きたいなら…主さまのことをもっと好きにさせて下さい。それまでは、いやです…」
「…もっと、か。覚えてろよ、全力で落としにかかってやる」
そう言って、また乱暴に唇を重ねた。
息吹が落ち込まないようにと総出で庭に出て、何やら楽しそうに踊ったり酒を飲んだりしている。
晴明が全力で張った結界を今まで破った者はなく、だからこそ息吹もようやく安心して主さまの膝に手を置いてしなだれかかった。
「…おい、離れろ」
「やだ、怖いもん」
「…だったら何をされても文句を言うなよ」
「え?」
晴明は隣室で書物を紐解いていて、雪男は仲間たちに誘われて外の大騒ぎに加わっている。
――主さまが腕を伸ばして庭側の障子を閉めた。
息吹はどきっとして、主さまの膝の上に置いていた手を離そうとした。
が、時すでに遅し。
息吹に告白しようと決めていた主さまが息吹を強引に膝に乗せて、ぐっと顔を近付けて、囁いた。
「俺の妻になるのと、俺に食われるのと…お前ならどっちを選ぶ?」
「…えっ?妻って…お嫁さんのこと…?ぬ、主さまは妖で、私は人だもん。私なんかあっという間に死んじゃう…」
――主さまの瞳の中に自分が映りこんでいた。
息遣いも聴こえてくるような距離で、主さまの薄くも綺麗な唇から目が離せなくなった息吹はどきどきしながらか細い声を上げた。
「や、だ、主さま…」
「何もしてない。質問に答えろ息吹。食われるか俺の妻になるか。どっちだ」
「そんな…私まだ殿方を好きになったことなんてないし…また私をからかってるだけでしょ?もう引っかからないんだから!」
明るい口調で返したのに煮えたぎるような想いを言霊に乗せて、息吹の耳元で吐き出した。
「お前が死ぬまでずっと傍に居る。お前は俺以外の男の元に嫁ぐことはできない。俺が邪魔してやる」
「っ、主さ……」
――素直に“愛している”と言えばいいのに、結局主さまは乱暴な手段に出ることしかできず、
口づけをして身体の力を奪うと浴衣の帯を外そうとして背中を向けられて、拒絶された。
「私を抱きたいなら…主さまのことをもっと好きにさせて下さい。それまでは、いやです…」
「…もっと、か。覚えてろよ、全力で落としにかかってやる」
そう言って、また乱暴に唇を重ねた。

