一向に成長しているように見えない身体にがっかりしつつも、大きな浴槽に息吹を浸けた。
「主しゃまは入らないの?」
「情操教育がどうとかでお前とは入ったら駄目らしいからな。…一緒に入ってほしいのか?」
「うん、主しゃま一緒に入ろー」
小さな手を目いっぱい伸ばしてきて、顔には満面の笑み。
雪男に笑いかけていた顔よりも輝いているように見えて、内心勝利宣言。
「仕方ないな、じゃあこのまま入るか」
着物を着たまま中に入ろうとして、風呂は服を脱いで入らないとと山姫から一般常識を教えられた息吹が、浴槽を跨ごうとしていた主さまを止めた。
「主しゃま、お風呂は服着て入っちゃ駄目なんだよ」
「脱げばいいんだろ」
仕方なく帯を外して着物を脱ぐと、山姫以外の人型の妖と風呂に入ったことのない息吹は自分の身体と照らし合わせていた。
「私と全然違う…」
「お前は女で俺は男だからな。膝に来い」
「後で私が主しゃまの髪を綺麗にしてあげるねー」
「ああ」
――息吹はまだ小さかったが、主さまが1番強くて、1番綺麗なことは理解していた。
誰にも言ったことはないが、自分を捨てた母の代わりに育ててくれていることをとても感謝していた。
何の取り柄もなく、それでも傍に置いてくれていることは感謝してもし足りなくて、主さまの首に腕を回してぎゅっと抱き着く。
「…平らだな」
「なにが?」
「なんでもない。冷えすぎると身体に悪いぞ、もう上がれ」
「はーい」
丁寧に身体を拭いてやって薄桃色の着物を着せて抱っこし、大広間に戻ると早速山姫が渡せと言わんばかりに手を伸ばしてくる。
「今日は俺が息吹の髪をやってやる」
「本当!?主しゃま、ありがとう!」
感謝されることは意外とこそばゆく、息吹を膝に座らせて櫛で髪を梳かすと濃紺の髪紐で結んでやった。
嬉しい時に脚をばたつかせる癖は赤ん坊の時から変わらず、父代わりの主さまと、母代わりの山姫が目を細める。
あと6年。
あと6年しかない。
「主しゃまは入らないの?」
「情操教育がどうとかでお前とは入ったら駄目らしいからな。…一緒に入ってほしいのか?」
「うん、主しゃま一緒に入ろー」
小さな手を目いっぱい伸ばしてきて、顔には満面の笑み。
雪男に笑いかけていた顔よりも輝いているように見えて、内心勝利宣言。
「仕方ないな、じゃあこのまま入るか」
着物を着たまま中に入ろうとして、風呂は服を脱いで入らないとと山姫から一般常識を教えられた息吹が、浴槽を跨ごうとしていた主さまを止めた。
「主しゃま、お風呂は服着て入っちゃ駄目なんだよ」
「脱げばいいんだろ」
仕方なく帯を外して着物を脱ぐと、山姫以外の人型の妖と風呂に入ったことのない息吹は自分の身体と照らし合わせていた。
「私と全然違う…」
「お前は女で俺は男だからな。膝に来い」
「後で私が主しゃまの髪を綺麗にしてあげるねー」
「ああ」
――息吹はまだ小さかったが、主さまが1番強くて、1番綺麗なことは理解していた。
誰にも言ったことはないが、自分を捨てた母の代わりに育ててくれていることをとても感謝していた。
何の取り柄もなく、それでも傍に置いてくれていることは感謝してもし足りなくて、主さまの首に腕を回してぎゅっと抱き着く。
「…平らだな」
「なにが?」
「なんでもない。冷えすぎると身体に悪いぞ、もう上がれ」
「はーい」
丁寧に身体を拭いてやって薄桃色の着物を着せて抱っこし、大広間に戻ると早速山姫が渡せと言わんばかりに手を伸ばしてくる。
「今日は俺が息吹の髪をやってやる」
「本当!?主しゃま、ありがとう!」
感謝されることは意外とこそばゆく、息吹を膝に座らせて櫛で髪を梳かすと濃紺の髪紐で結んでやった。
嬉しい時に脚をばたつかせる癖は赤ん坊の時から変わらず、父代わりの主さまと、母代わりの山姫が目を細める。
あと6年。
あと6年しかない。

