時は前後して…
なんとなく胸騒ぎがして息吹たちの居る部屋に行ってみたら…
「主さま!息吹がなんかおかしいんだ。どうしたんだ?!」
ふらり…
夢遊病者のように、ゆらゆらと不安定に身体を揺らしながら、虚ろな瞳をした息吹が立っていた。
――夢の中で何かと接触している――
手に吸い付くような感触の天叢雲を簡易的に封印している布を素早く外した。
息吹をどうにかしようとしているのは、恐らく鬼八。
…幽玄町に置いて来ればよかったと思いながらも、幽玄町に居ながらも鬼八は息吹の夢に現れたことを考えれば、こうしてここに連れてくるしかなかったのだ。
「息吹、目を覚ませ」
普段息吹が持ち得ない大人の色気を発している息吹の前で振り下ろすと明らかに何かを斬った手ごたえがして、息吹の膝から力が抜けて崩れ落ちた。
「息吹、大丈夫か?」
「あ…、主さま…、主さま…!」
怖い思いをしたのか胸にしがみついてきた息吹の頭を撫でてやり、雪男がおろおろと回りを歩く中、湯呑を引き寄せると息吹に飲ませてやって背中も撫でた。
「…鬼八に会ったか?」
「うん…。主さまにすごく似てた…。すごく優しかったよ、でも…怖かった…っ」
わあ、と声を上げて泣き出して、しばらく傍にいた雪男は主さまから目配せされて部屋から出て行った。
「鬼八は鵜目姫を攫って妻とした男。今も鵜目姫を求めて毎夜鬼八塚から怨嗟の声を上げている。今夜、再封印を施す」
「でも怖いよ主さま…!本当に夢に出て来なくなる?絶対?」
瞳を真っ赤にさせて何度も問うてくる息吹はか細く可憐で、軽々と抱き上げると床に寝かせて手を繋いでやった。
「以前鬼八に封印をしてから100年経とうとしているから封印が緩んでいるだけだ。俺が傍に居てやるから寝ろ」
「…一緒寝て…主さま」
「お、お前、ふざけるな、1人で寝ろ」
「やだ、怖いもん。主さまお願い」
――惚れた女に懇願されて断り切れるわけもなく、ぎこちなく息吹の隣に寝ころがりながら、頬を指で突いた。
「餓鬼が」
「餓鬼だもん。主さま、腕枕」
「…」
我が儘放題。
なんとなく胸騒ぎがして息吹たちの居る部屋に行ってみたら…
「主さま!息吹がなんかおかしいんだ。どうしたんだ?!」
ふらり…
夢遊病者のように、ゆらゆらと不安定に身体を揺らしながら、虚ろな瞳をした息吹が立っていた。
――夢の中で何かと接触している――
手に吸い付くような感触の天叢雲を簡易的に封印している布を素早く外した。
息吹をどうにかしようとしているのは、恐らく鬼八。
…幽玄町に置いて来ればよかったと思いながらも、幽玄町に居ながらも鬼八は息吹の夢に現れたことを考えれば、こうしてここに連れてくるしかなかったのだ。
「息吹、目を覚ませ」
普段息吹が持ち得ない大人の色気を発している息吹の前で振り下ろすと明らかに何かを斬った手ごたえがして、息吹の膝から力が抜けて崩れ落ちた。
「息吹、大丈夫か?」
「あ…、主さま…、主さま…!」
怖い思いをしたのか胸にしがみついてきた息吹の頭を撫でてやり、雪男がおろおろと回りを歩く中、湯呑を引き寄せると息吹に飲ませてやって背中も撫でた。
「…鬼八に会ったか?」
「うん…。主さまにすごく似てた…。すごく優しかったよ、でも…怖かった…っ」
わあ、と声を上げて泣き出して、しばらく傍にいた雪男は主さまから目配せされて部屋から出て行った。
「鬼八は鵜目姫を攫って妻とした男。今も鵜目姫を求めて毎夜鬼八塚から怨嗟の声を上げている。今夜、再封印を施す」
「でも怖いよ主さま…!本当に夢に出て来なくなる?絶対?」
瞳を真っ赤にさせて何度も問うてくる息吹はか細く可憐で、軽々と抱き上げると床に寝かせて手を繋いでやった。
「以前鬼八に封印をしてから100年経とうとしているから封印が緩んでいるだけだ。俺が傍に居てやるから寝ろ」
「…一緒寝て…主さま」
「お、お前、ふざけるな、1人で寝ろ」
「やだ、怖いもん。主さまお願い」
――惚れた女に懇願されて断り切れるわけもなく、ぎこちなく息吹の隣に寝ころがりながら、頬を指で突いた。
「餓鬼が」
「餓鬼だもん。主さま、腕枕」
「…」
我が儘放題。

