“幽玄町の主さまを追い払った”
――御所では皆が喝采の声を上げ、息吹は…拳を握りしめて俯いていた。
「息吹姫…まさか姫と十六夜は想い合っているのか?魔に魅入られたのか?」
…魔ではない。
主さまは人を殺めることを嫌う心優しい妖だ。
――息吹は肩で息をついて顔を上げると、自分の想いは綺麗に隠して首を振った。
「主さまは私を守ってくれていただけです。…父様の所と御所を少し探索しても構いませんか?」
「ああいいとも。見張りをつけるが好きに見て回りなさい」
…上機嫌だ。
そうしていればとても優しい人に見えるのに、実際やっていることはいちいち息吹の癇に障っていた。
「ありがとうございます」
帝の私室を出ると入り口には大柄な近衛兵が立っていて、微笑みかけた。
「父様の所へ。その後は宝庫を」
「宝庫…ですか?しかし…」
「帝から許可は頂いています。確認しますか?」
「…いえ、失礼いたしました」
――息吹はどの女御や女房、更衣よりも可憐でおしとやかに見えて、綺麗だ。
息吹に見惚れた近衛兵はぎくしゃくと歩き、息吹はその後ろをついて行くと晴明と再会した。
「父様!」
「ああ息吹…ここは牢ではないね。それに先程十六夜が来たな?」
身体を起こしていた晴明は牢の中に居る時よりかなり顔色は良かったが、息吹はすぐ傍らに座ると嬉しくて手を握った。
「元気になってよかった。あと…私はもう屋敷には…戻りません。父様…今まで私を育てて頂いてありがとうございました」
「…息吹…」
――深々と頭を下げて上げない愛娘。
自分を質に取られて否応なくそうせざるを得ないという思いが強く伝わった。
そして主さまがこれしきでは諦めないこともわかっていて、あの凄まじき力が封印から解かれた気配も感じていた。
「そなたはまだ考えが甘いな。いいか息吹。十六夜は百鬼をただ率いているわけではない。この国で最も強き妖なのだぞ」
「でも私はもう…」
「案ずるな、あ奴の好きなようにさせてやれ。それまで私はもうひと眠りするとしよう」
いつもののんびり屋な晴明に笑みを誘われた。
――御所では皆が喝采の声を上げ、息吹は…拳を握りしめて俯いていた。
「息吹姫…まさか姫と十六夜は想い合っているのか?魔に魅入られたのか?」
…魔ではない。
主さまは人を殺めることを嫌う心優しい妖だ。
――息吹は肩で息をついて顔を上げると、自分の想いは綺麗に隠して首を振った。
「主さまは私を守ってくれていただけです。…父様の所と御所を少し探索しても構いませんか?」
「ああいいとも。見張りをつけるが好きに見て回りなさい」
…上機嫌だ。
そうしていればとても優しい人に見えるのに、実際やっていることはいちいち息吹の癇に障っていた。
「ありがとうございます」
帝の私室を出ると入り口には大柄な近衛兵が立っていて、微笑みかけた。
「父様の所へ。その後は宝庫を」
「宝庫…ですか?しかし…」
「帝から許可は頂いています。確認しますか?」
「…いえ、失礼いたしました」
――息吹はどの女御や女房、更衣よりも可憐でおしとやかに見えて、綺麗だ。
息吹に見惚れた近衛兵はぎくしゃくと歩き、息吹はその後ろをついて行くと晴明と再会した。
「父様!」
「ああ息吹…ここは牢ではないね。それに先程十六夜が来たな?」
身体を起こしていた晴明は牢の中に居る時よりかなり顔色は良かったが、息吹はすぐ傍らに座ると嬉しくて手を握った。
「元気になってよかった。あと…私はもう屋敷には…戻りません。父様…今まで私を育てて頂いてありがとうございました」
「…息吹…」
――深々と頭を下げて上げない愛娘。
自分を質に取られて否応なくそうせざるを得ないという思いが強く伝わった。
そして主さまがこれしきでは諦めないこともわかっていて、あの凄まじき力が封印から解かれた気配も感じていた。
「そなたはまだ考えが甘いな。いいか息吹。十六夜は百鬼をただ率いているわけではない。この国で最も強き妖なのだぞ」
「でも私はもう…」
「案ずるな、あ奴の好きなようにさせてやれ。それまで私はもうひと眠りするとしよう」
いつもののんびり屋な晴明に笑みを誘われた。

