夕方になると百鬼たちが集結し始めて、息吹は縁側に座り、話しかけてくる彼らたちと話をしていた。
広間では害はないが大物と言われるぬらりひょんと主さまが話をしていたた。
小耳に挟んだのだが、どうやら晴明とのことを話し合っていて、息吹がため息をつくと…
「主さまには言わないのかい?」
「え?」
そう話しかけてきたのは外見はまるっきり猿の妖で、息吹の前で犬のように脚を揃えて座るとにたりと笑った。
「主さまに唇を奪われたんだろ?」
「え、ちょ…どうして知ってるの!?」
慌てて猿の妖の口を塞ぐと、ききっと猿のように笑って息吹の手を器用に外した。
「俺は覚(さとり)という。お前が考えていることは全てわかるぞ。主さまに手を出されてどうしようか考えているだろ?」
「やめて、やめて!誰にも言わないで、お願い!」
――息吹が覚とじゃれている姿を広間から見ていた主さまは、ぬらりひょんから煙管で頬を突かれた。
「そういえばあの娘っ子はお前の女だったな。逃げ出したと聞いたが連れ戻したのか?」
主さまは憮然となりながら煙管を払い、逆に自分の煙管でぬらりひょんの頭を叩いた。
「余計な詮索をするな。それにあれは俺の女じゃない。…息吹は人間だぞ」
「人間でも我らとの間には子もできるぞ。そろそろお前も身を固めたらどうだ」
「うるさい。…行くぞ、用意しろ」
百鬼たちが声を揃えてそれに応え、息吹の傍からも覚が離れてゆく。
「お願い、秘密にしててね!」
覚に念を押して、主さまが息吹の横を通った時に顎を取られて上向かせられた。
「お前…俺に何か隠し事をしてないか?」
「し、してません!主さま行ってらっしゃい!」
主さまの後ろをついて行っていた雪男が肩越しに小さく手を振ってきて、それに対して大きく手を振り返すと主さまが鼻を鳴らしながら、駆けて行った。
息吹は皿を洗っている山姫の隣に立つと思い切って声をかけた。
「あ、あの、母様…」
「ああ、ちょっと待っておくれ。後でいいかい?」
「う、うん」
――結局言えず思い悩み、息吹はため息をついた。
広間では害はないが大物と言われるぬらりひょんと主さまが話をしていたた。
小耳に挟んだのだが、どうやら晴明とのことを話し合っていて、息吹がため息をつくと…
「主さまには言わないのかい?」
「え?」
そう話しかけてきたのは外見はまるっきり猿の妖で、息吹の前で犬のように脚を揃えて座るとにたりと笑った。
「主さまに唇を奪われたんだろ?」
「え、ちょ…どうして知ってるの!?」
慌てて猿の妖の口を塞ぐと、ききっと猿のように笑って息吹の手を器用に外した。
「俺は覚(さとり)という。お前が考えていることは全てわかるぞ。主さまに手を出されてどうしようか考えているだろ?」
「やめて、やめて!誰にも言わないで、お願い!」
――息吹が覚とじゃれている姿を広間から見ていた主さまは、ぬらりひょんから煙管で頬を突かれた。
「そういえばあの娘っ子はお前の女だったな。逃げ出したと聞いたが連れ戻したのか?」
主さまは憮然となりながら煙管を払い、逆に自分の煙管でぬらりひょんの頭を叩いた。
「余計な詮索をするな。それにあれは俺の女じゃない。…息吹は人間だぞ」
「人間でも我らとの間には子もできるぞ。そろそろお前も身を固めたらどうだ」
「うるさい。…行くぞ、用意しろ」
百鬼たちが声を揃えてそれに応え、息吹の傍からも覚が離れてゆく。
「お願い、秘密にしててね!」
覚に念を押して、主さまが息吹の横を通った時に顎を取られて上向かせられた。
「お前…俺に何か隠し事をしてないか?」
「し、してません!主さま行ってらっしゃい!」
主さまの後ろをついて行っていた雪男が肩越しに小さく手を振ってきて、それに対して大きく手を振り返すと主さまが鼻を鳴らしながら、駆けて行った。
息吹は皿を洗っている山姫の隣に立つと思い切って声をかけた。
「あ、あの、母様…」
「ああ、ちょっと待っておくれ。後でいいかい?」
「う、うん」
――結局言えず思い悩み、息吹はため息をついた。

