あの後、当然尚吾を殴ってやった。


だけど、嬉しそうに真っ赤になった頬を押さえていた。


結局、付き合うとかそういうのはウヤムヤニしたまま。


勢いづいて好きなんて言っちゃったけど、実際どうしていいかまだ迷ってるし。


そして、あたしは『G』に戻って住む事になった。


あのままお姉さん?と一緒に暮らしても、ギクシャクしちゃいそうだったから…。


「唯ちゃんと一緒にいられるなんて夢見たい!!」


ミュウは、凄く喜んでた。


いつも、1人で淋しかったみたいだから。


尚吾とミュウとあたし…。


微妙な三角関係。


その原因は、あたしにあるんだけどね…。


なのに、いつもと変わりなくみんなで笑っていられた。


だけど、その日は珍しく尚吾だけは『G』に来ていない。


丘芹や亮太の恋愛バカ話には笑っていられるけど、どこかソワソワしてしまう。




ブルルル…

ブルルル…



ポケットの中の携帯に、誰かからメールが来た。


『件名 今から

本文 ----

1人でビルまで来てくれないか。』



『G』に来ないと思ったら、ビルにいたのか…。



---でも、あたし1人って。


何だろう??


少しの不安を抱えながら、こっそりと部屋を出てビルに向かった。


もしかして、お兄ちゃんが何かしたのか?


お姉さん…秀のお兄さんと何かあったのか?



頭の中を色々な不安要素が思い浮かぶ。


ビルに着くと急いで階段を駆け上った。