霧生の家に向かう途中の国道の信号だった。


視界に大きな花火が見えた。


近くで、花火大会をやってるみたい。


バシバシと霧生の背中を叩くと、嫌そうな顔をして振り向いた。


声が聞こえないから、指で夜空いっぱいに広がる花火を指した。


首をかしげながら、前を向いてしまった。


花火見たいのに!!!!


力いっぱい霧生の背中をバシバシ叩いた。


信号が青に変わってバイクは動き出した。


「せっかく花火見たかったのに…。」


ブツブツと、ひとり文句を言ってる。


陸橋のど真ん中で、急にバイクが止まった。


何か起こった?


霧生はバイクを止めると、ヘルメットを脱いだ。


「花火見たいんだろ?」


ちょっと不機嫌そう。


「うん!!!」


元気良く返事をすると、バイクから飛び降りてヘルメットを脱いだ。


陸橋沿いには、何台も路駐して花火を見ている人がいる。


立体交差の所だから、ビルに邪魔される事もなく花火が一望できる。


手すりに寄りかかって花火を見上げた。