痛い体を引きづるように、なんとか新幹線に乗ってホテルまで帰ってきた。


新幹線に乗っている間、思った事があった。


あたしがあの日、屋根裏の窓から見た人影は霧生なんかじゃなく、あのお兄さんだったのかな?



なんて…。



あの後ろ姿も、うっすらとしか思い出せない。


痛みで頭が回らない。


ただ、これだけは決めたことがある。


『嫌われてもいい。だけど、これ以上人を不幸にしたくない。』


---霧生は死んじゃったかもしれない。


だけど、ハッキリとした証拠がないんだから、どこかで生きているって思いたい。



きっと、いつか会いたい…。


そう思う事で、胸の奥の消せない罪の痛みを和らげる気がした。


体の痛みは骨は大丈夫だったみたい。


だけど打ち身がひどくて…。


一週間はホテルのベットで過ごした。