「そうは見えないな」 私はぐっと口を引き結んで、こらえる。 「何でだ?言えよ、いつもみたいに俺をニラんでさ」 「………っ」 言えない。 言えるワケない。 自分でも自分の気持ちがよく分からないのに。 ―――昨日の西園寺くんを見た時から。 「なぁ」 「もう……もう、構わないでっ!アナタなんてっ」 思わずそこまで言ってしまって、私は我に返る。 みんなの視線を感じた。 ―――西園寺くんの視線も。 気がつくと、私は教室を飛び出していた。