私の目線に気付いた彼はニヤッと笑ってみせたものの、すぐに痛そうに顔をしかめる。

他のクラスメートが驚いて道を譲る中、いつも西園寺くんとつるんでいる人達が彼に近付いていった。

「玲!お前珍しく殴られてんじゃん」

「おー。ちょい喰らったけど大した事ねぇ」

「俺ら呼べよ!」

「めんどくさかったんだよ」

「それよか、イトシの寺島ちゃんが心配そうだぞー」

何人もの目線が一斉にこっちを見て、私は慌てて顔を伏せた。