羽村さんは私の格好を見ると、ちょっと眉を寄せる。 「明日は髪をきっちりくくってこいよ。後、……ソレはタオルか何かでどうにか出来るな?」 ソレ? 私は羽村さんの指差す方をたどってみる。 「―――あ……」 『ソレ』と示されたものに気付いた途端、顔が熱くなってしまう。 男装してるのに、胸があるのは変だよね。確かに。 演劇部なのに頭が回らなかったなぁ。 きっと、さっきの陽二さんもその事が言いたかったに違いない。 私がチラッと陽二さんの方を見ると、目が合った瞬間にそらされてしまった。