にがいの。


彼はあたしに、自分のできる精一杯のものを何でもあげようとしてくれて。


あたしはそれを受け取りもしないで、彼に何を与えることもしなかった。


不安も、孤独も。

「別れ」の責任すらも、向こうに押し付けて。




『別れよう』




彼がどんな気持ちでその台詞を言ったのか。



…わかってて、あたしは「うん」って言った。




「うん」って言ったの。




…「すきだよ」って言われた時と、まるで同じように。