ガチャッ 玄関のドアが開いて いつも通り、私を起こしに 彼が部屋に入ってくる。 「 アゲハ 」 この名前もすっかり呼ばれ慣れて 毎朝10時に、彼は私の名前を呼ぶ。 「 飯、おいで 」 ”俺が呼ぶまで部屋から出るな” 怪我が治ってからの言いつけを 私は守り続けている。 まだ日は浅いけど、それなりに 痣ももう薄れて痛みもない。 小さな欠伸を漏らしながら 彼のいる部屋へ足を運ぶと 私を見た彼も欠伸をした。