「 ・・・バカだな 」 いつだって手を伸ばせば 届く距離にいるのに お前はいつになったら 気づくんだろうな。 一人で何でも抱え込んで こなそうとする悪い癖は いつになっても直らない。 そのままをこの子に伝えてしまえば この子は屈託なく笑ってきっとその 気持ちを受け入れる。 傷つけることしか知らない 不器用な男が、声を殺して 泣くのを、受話器越しにずっと 聞いていた。