「 前から言ってるけど、俺はお前を逃がしたい 」 私の手を振り払うと 一輝は両手で私の頬を 包んで、グイッと 自分の方へ向けた。 「 償いなんだよ… 」 一輝と龍一の過去は 私には分からないし 関係ない。 けど、“リカ”が 二人の過去に関係してるなら、 私は知りたい。 あのときの、名前を呼ぶ 龍一の顔が頭から 離れない。 彼の瞳に、私はいない。 ―――――――なんで。 私とリカを、 重ねるの―――――…?