「は~い!次は足を広げて、前に倒すよ~!」 優しい口調でそう言いながら、つばさ君は子供たちの間を歩く。 「はい!もっと倒して~」 つばさ君が… つばさ君が 私の背中を 押した。 はっとして、動きを止めた私にまた微笑んでくれた。 「ほら!しっかり!」 そう言いながら、私の後ろに腰を下ろして 何度も私の背中を押してくれた。 きっと、 これから 毎晩私は柔軟体操をするだろう。 びっくりするくらい 柔らかくなっちゃうかも知れないよ。 このとき、気付いたんだ。 『恋』ってこれだ――って。