-直輝sideー

俺、湯川 直輝。

かなりの女嫌い。

じんましんが出るっていうの、本当なんだ。

これを、誰かに言ったのは、初めて。

そう…光康に言ったのが初めて。

なぜ、そんな気持ちになったのかはわからない。

気づいたら、言っていた。

同じような、ヤツだと思ったんだ。

女子の前では、あんなふうに、ニコニコしてるけど、

本当は、女なんか嫌い。

そんな、感じがした。

気づいたら、声をかけていて、

自分を直輝って呼べと言っていた。

ま、相手にもされなかったけどな…

今日の朝、俺は、花本さんに声をかけた。

間近で見ると、やっぱり可愛くて、

不覚にも、照れてしまった。

光康との関係を聞き出そうとしたんだ。

遊び半分だった。

花本さんの腕を掴んで、引き留めた時、

光康の顔を見ると、こっちを睨みつけていた。

俺は、そのまま手を離さずに、直輝と呼べ と、言ってしまった。

本当は、こんなつもりなかったのに。

すると、舌打ちが聞こえ、

張り付けたような笑顔を浮かべた、光康が来た。

「花本さん、用事があるので来てもらえますか?」

そう言った後、俺に近づいてきた。

「俺のモノに触んな、直輝」

耳元で低い声で言われた。

予想通り♪

そう思った。

「そ~来なっくちゃ!!」

笑顔で言った。

直輝と呼ばれた事が嬉しかったんじゃない。

裏を見せてくれて嬉しかったんだ。

「じゃあね、真由♪」

花本 真由…か。

光康が大事にしてるモノ。

奪ってやりたい。

ふいに、そんな気持ちになった。