「俺、女大嫌いなんだ」


「そうなんですか…」

敬語は崩さず、適当に返事をする。

「信じてる?? 俺、女に触られるとじんましん、出るんだよね」


「そうなんですか…」

手ごわいな……そう言って、困ったように笑う湯川。


別に…、お前の体質とかどうでもいいんだけど…

「お話はそれだけですか?」

冷たく、突き放すように言う。

俺、こういうタイプ苦手…

「いや…、俺の事、直輝って呼べよ」

「嫌です」

即答かよ……と、苦笑いする湯川。

「俺、お前の事、光康って呼ぶから」


「お好きにしてください」

俺は、それだけ言って、席を立った。


俺は、まだ知らなかった。

この時の出会いが、俺の人生を大きく狂わせることになるなんて……