「なんだ」 親父の顔は、すぐにいつもの険しい顔へと戻った。 体中に伝わる威圧感。 「婚約のことです」 俺が言うと、 もっと険しい顔になり、 眉間のしわが、濃く刻まれた。 「座りなさい」 大事な話だと察したみたいだ。 いつもは、座れなんて一切言わない。 「はい」 ソファに座る。 先に、口を開いたのは、 親父だった。 「婚約がどうかしたのか」