泣いて
泣いて
いっぱい泣いた。
全てを受け止めてくれた零くん。
その優しさに、その一時、恋してた。
「こんな時になんだけど……いや、こんな時だからこそなのかな……俺で忘れない？」
あたしが落ち着いてきてから放った一言。
意味が理解出来ない。
「どういうこと？」
「利久を忘れるまで、俺の彼女にならない？俺といっぱい思い出作って、利久への気持ち、忘れよう」
「……でも私……」
そんな、利用するみたいなマネ……。
「俺じゃダメ？」
……ダメ……じゃないけど……。
「でも、それだと利用してるみたいで……」
「形だけだよ。俺のことなら大丈夫だけど、羽織ちゃんがイヤだってんならそのままでもいい」
