醜い私は醜くすがるんだ。それこそ良いように利用しているように。
一つの手を二つの手で掴んだ。相手が痛いとかそんな事を気にせずに、強く力を入れた。離れないように。離さないように。
本当は、こんな事してはいけない。彼を巻き込んではいけない。でも、今だけは許してほしい。
「ごめんなさい。ごめんなさい……」
歯を食い縛りながら何度も謝った。謝る以外、今の私には出来そうにない。
彼は何も言わなかった。言わなかったが、同じ目線まで下りてきて空いた手で私の頬に触れた。
「……っ!」
ビクッと一瞬体が跳ねるも、それは拒絶反応ではなかった。頬の涙を拭うように手がなぞられる。
ただただ手は暖かくて、優しかった。
私はずっと、こんな手を望んでいた気さえした。



