箱庭ラビリンス



下校中の生徒が、此方を好奇の目で見ているのか視線が突き刺さっているのが分かる。


もうそろそろ先生か誰かが来るかもしれない。ただ事じゃないと感じた生徒も先生を呼んでいるかもしれない。


問い詰められるのは嫌だ。なのに足に力が入らない。


「立てる?」


そこに伸ばされる手。いつも見ていた手だ。


「何で……」


手を取らずに問いで返す。それでも手が引く事はなかった。


「やっぱり気になって追ってきたんだ。望月さんの意に反するだろうけど」


フルフルと頭を横に。


意に反してなんかいない。一人になろうとしていても、気に掛けてもらいたかったんだ。本当はそうなんだ。


なんて醜い。笑えやしない。