箱庭ラビリンス



見たところ他のクラスメイトは既に移動したようで、いるのは女子三名。


彼女たちは扉が開いたのをきっかけに会話を切ったから無言だ。目くばせは止めていないが。


私は一直線に自席を目指して、筆記用具等を手にした。


まだ喋る様子はない。


結局、私が出ていくまで話さなかった訳だけど、私が出た途端クスクスと笑い始める声が聞こえた。


壁にもたれながら、いつでも一人ぼっちの人間に降り注ぐのは好奇の目の類なのだなと思う。


「折角一緒に食べて話のネタにしてやろーと思ったのにねー」


「さっきの聞かれてたんじゃないのー?」


「今も居たりして。未来ちゃん」


「……はっ」


居たら悪いんだな……


チャイムが鳴っても移動しない所を見れば、彼女たちは授業に出ないつもりだろう。


……もう行こう。


その時、ガラッと扉が開く音がした。