箱庭ラビリンス



女子。と分類される生き物は何を考えているのか分からない。私もそうだが。


今だってそうだった。


何の為に大半の人間がいい感情を抱いていないであろう私に声を掛けたのか。


答えは向こうからすぐに来た。


適当な空き教室で時間を潰していたのだが、次の時間は移動教室だった事をギリギリになって思い出し、慌てたわけでもないけれど、そこそこに足を進めて筆記用具等を取りに教室に戻ったのだ。


なのに足は教室に入ることなく止まった。


「……何で、あんな可愛くなんかも無い奴に馬鹿にされたような態度取られなきゃいけないの!」


「あはは。ドンマイ!とんだ罰ゲームだったね」


「未来ちゃん。だなんて普段のアンタからかんがえられないわー」


声から察するに購買近くで声を掛けてきた彼女で、名前から察しなくても私の事。


これが彼女の本当の部分だとすれば、先のは偽り部分だろう。めんどくさい生き物以外の何者でもない。


癖付いた溜め息を吐いて、躊躇なく音を立てて扉を開いた。