箱庭ラビリンス



誰にも分からないように小さく自分で自分を嘲笑う。


「未来ちゃん。お昼、一緒に食べない?」


降ってきた言葉はこれまで言われては来なかった言葉。多分、一瞬見た感じだがクラスの女の子だったと思う。


けど、何故私と?


「実はね、ずっと話してみたかったの」


「……」


気持ち悪い感情が即座に私の中を占めはじめた。彼の時と違って行動を起こしてみようという気持ちにもなれない。


理由は?――分からない。


「購買、買えなかったんだよね?私のお弁当一緒に食べない?」


ナナギくんを思い出す要因が一つも無いから?


違う。関係ない。


「ね、行こう」


「……――」


ああ、そうか。彼女の目の奥の奥が笑っていないからだ。


私は申し出てきた彼女を一切無視して逆方向に歩き始めた。