箱庭ラビリンス



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怖い人は実際に少数で、学校にいる人間に怖い人なんて殆どいないだろう。


だが、目の前にいる人だかりに恐怖ばかりを覚えていた。


無理だ。諦めよう。


猫にあげた昼ご飯だった筈のものを購買で補おうとしたが早々に諦めて踵を返した。


今日は昼食は抜きか。まぁ、食べようがたべまいが同じか。


「ねぇ」


じゃあ、どうしようか。


「ねぇ……」


教室に戻った所でどうしようもない。


「ねぇってば!」


「――!!」


ポンッと軽々しく叩かれた肩を振り返り様に跳ね除けていた。


見開いた目に映る姿は女子で、それだけでホッとする。


力のない女子の方が幾分かマシだ。


……力がないのは私も同じ、か。