箱庭ラビリンス



ゾワッと全身が逆立つような感覚。


嫌悪。総称にはピッタリ過ぎるくらいにピッタリだ。


怖くて目をギュッと瞑った。


「――怖くないよ」


「……え?」


「動物の毛?ついてた」


動物の毛は多分猫の毛。それはどうでもいい。


「また、放課後」


挨拶もお礼も言えなかった。その事だけが頭に残り、立ち尽くしていた。


彼はどんな顔をしていたのか。顔すらも見えていなかった。


「怖くない……」


君は、怖い人ではない。