箱庭ラビリンス



「……美味しい」


料理を口に運び呟くように言えば彼女の表情は見て分かるくらい明るくなった。


「張り切っちゃったので嬉しいです!」


「でも確かに張り切り過ぎだよね。食べきれないんじゃないの?」


「う……っ!今グサッとしました……」


言葉を表現したいのか胸に手を当て、表情を歪める。言った本人である彼はと言えばそれを気にも止めずに平然とした様子で箸を進めていた。


彼は私といる時と雰囲気が違う。“家族”だからだろうか。家族だから、素を出しているのだろうか。


そんな、想像。


「おーくん細い。もっと食べるべし」


「普通だよ」


「確かにそうよねぇ。お母さんより細いんじゃないかしらぁ。ううん。それより未来ちゃんねぇ」


「へ?」


耳で聞きながら今まで黙々と食べていた為、急に話を振られ戸惑った。