箱庭ラビリンス



暫く待つと、料理が次から次へと出てきて、皆座る頃にはテーブル一杯になっていた。


「……」


ちゃんとした食事が並ぶ光景が久しぶりで、何だかむず痒い。悪い意味ではない、気恥ずかしいのかもしれない。


「お父さんはまだ帰って来ないから先に食べましょ」


それが合図のように手を合わせ始めるので慌てて同じようにする。


「いただきます」


「い、いただきます」


続いて同じように言うも、そう言うのはいつぶりだろうか。もうずっと言っていなかった気がする。


当たり前の事を私はしてきていなかったんだ。どうしてだろう。一人だったから?


「未来さん未来さん。食べてください」


「あ……う、うん」


ブンブンと首を横に振り、箸を手に取った。