驚きで瞬きしている間に彼女は踵を返し、私に背を向けた。
「あざまー。じゃ、はん食べまー」
ピシッと廊下の奥を指し示し、訳の分からない言葉と共に歩き出す。首を傾げて言葉を解読するに徹するも分からなかった。
「色葉はちょっと変わってて、時々変な日本語を使うんだよ」
すると彼は説明するようにいい、「ありがとう。ご飯食べよう。だって」と教えてくれた。
「……」
何と言うか、個性的な家族だ。彼はこんな風に育ってきたのか。
この家族の中でも彼は一番落ち着いているように見える。いや、だが、でも……。何でこんなに何かが引っかかっているのだろう。
「未来さん!もう少しで出来るから待っててくださいねっ」
その声で余計な思考はカットされた。



