箱庭ラビリンス



たじろぎながらもとりあえずは「お邪魔します」と軽く会釈する。


ぼーっとした目つきで私を見ながら、瞬き一回。まるで私を確認したかのよう。すぐに彼女は彼に向けて顔を上げた。


「おーくん、連れ込み?」


「絵美がね」


「ふーん。ましてー。色葉(いろは)でーす。中二でーす」


目元でピースを作り自己紹介をしてくれる。しゃべり方からか覇気は感じられなかった。


私も先のように自己紹介を済ませると、彼女は徐に私の髪に自分の髪飾りを付けてきて、髪の毛をひと撫で。


「え?え?」


「はい、ニコー」


掛け声と共に、眩いフラッシュが浴びせられた。


写真を撮られた。と気付いたのはいつからか手にしていた一眼レフカメラを見てからだった。