箱庭ラビリンス



もう一度マジマジとまでは行かないが目の前の人の顔を見る。


母と言うには若く見える。姉でもいいんじゃないかとすら思ってしまう。年相応の姿をしていない。と言うのは失礼だろうかと思い、雑念を消すかのように首を振った。


「何ていうかもう、未来ちゃん可愛いわぁ……」


頬に手を当て、私をジッと見つめてくる。何が何だか分からず挙動不審に視線を辺りに飛ばした。


「ごめんね。母さん女の子大好きだから……」


困ったように言われても混乱していて言葉を返す事もままならない。


「心配しなくても音弥も大好きよ?」


「そんな心配してないよ」


彼は疲れたような表情を出し、大きな溜め息を吐き出した。


とりあえず母親だと言う事は彼の言葉からも分かった。仲のいい親子なのだろうか。


「さぁ中に入って入って。絵美と沢山作ったのよぉ?」


促されるままに彼の後に続く。言い換えれば流されるままに進んだ。