箱庭ラビリンス



一度止めていた手を動かし、彼は小さな門を開きつつ言った。


「……またインターホンの前で待機してたの?」


「直ぐに迎えれるに越した事はないでしょ?」


「早すぎて怯えてるよ」


「居てもたってもいられなくてぇ。じゃあ、初めまして。音弥の母です」


決して自分のペースを崩すことなく、先からの口調でお辞儀をする。それに対して私も同じように対応した。


「あ、はい……も、望月未来……です。お邪魔します……?」


答えは待っていれば出た。のだが。


「……?」


今、母って言った気がするのは聞き間違いだろうか。