箱庭ラビリンス



そうこうしている内に外は暗くなり始めていた。驚く程に時間は早く過ぎるものだ。


きっと私は、鍵盤の重さも今日の音も忘れないだろう。開いていた手を閉じ前を向いた。


「ちょっと歩くけど大丈夫?」


玄関口から振り向いた彼に対して頷き、彼の隣を歩き始める。歩くのくらい、平気だ。


彼と私の家までの道のりは途中まで一緒で途中から違う方向に向かう。そうなると悪い事をしたなと一緒に帰った日の事を思いだす。


けれど、どうやってそれを言えばいいか分からず、また、自意識過剰のように思われたらどうしようと要らない考えをしてしまい、結局口を閉ざした。紡ぐのは彼との会話の言葉だけ。


「こっちの方来たことある?」


「いや、あまりない……かな?」


他愛もない話をしながらも歩いていけば、とうとう彼の家に着いた。