箱庭ラビリンス



―――


放課後、晩御飯までにはまだ時間があるからと、音楽室で時間を潰していた。


「ねぇ」


唐突に音が止まったかと思うと声を掛けられる。


私が顔を上げたのを見計らって彼は続きを言った。


「こうやって聴いてるの、退屈じゃない?」


「え……いや、退屈じゃ……ない」


「そう?」


彼には私が退屈そうに見えたのだろうか。だったらそれは少し心外だ。


退屈だと思った事は一度もないのだ。むしろ落ち着く。


ああ、もしかすると前回眠ってしまったからそう言ってきたのだろうか。


「そうだ。望月さんも弾いてみる?」


え?と声を上げるよりも早く、確認するかのようにピアノの音が一つ鳴った。