箱庭ラビリンス



この違和感は何だろうか。何かが引っかかった。


「先生には怒られました。けど、音弥くんにも言われると更にへこみます」


そう、彼女の彼に対する口調だ。これが彼女なのだろうけれど、家族に敬語を使う人を見た事がなかったから違和感を覚えているのだ。


どうして。とかそう言う事を思ったりしてはいけないのだろうが、思考は止まってくれない。想像なんてできやしないけど。


気づかれないように二人を盗み見ていた。そんな時にふと、彼女は此方に視線を寄越した。決意の目。


「このままではいいとこなしです。だから挽回します。未来さん!」


「!?」


彼女は私が不審に思っているとも知らず、バンッと机を叩き、乗り上げようとせんばかりの勢いで接近してくる。


気持ち分離れるように、体を背もたれにぶつけ、小さく息を漏らす。


流石に、完全に人と接するのは平気。とはまだ言えないのでビクビクと体を強張らせていた。