家に着いたら着いたで
「桐谷少年の側には寄れるのね？」
なんて事を言われる始末。菜穂姉は私と彼の間に何かあると勘ぐっているようだった。
言っていなかったのだとしても、意図的に隠していたわけでもないが、鉢合わせなどしたくなかったのは事実。
「……菜穂姉、何か飲む？」
わざとらしくその話題を避けるように勤めれば、それ以上に追求しては来ないのが菜穂姉。
「じゃ、コーヒー」
――不本意であるのだろうなと言う事はよくわかるが。
「……コーヒーないよ。菜穂姉が持ってきてないんだから。お茶でいい？」
「じゃあそれで許す」
苦笑いを溢しつつも、牛乳を温め、お茶をコップに注いだ。
