箱庭ラビリンス



声も距離を考えれば適当な大きさだった。


「女の子のお友達が出来たんだとばかり」


「え?え?」


「だって、未来ちゃんが男に関わると思わないじゃない」


「う、ん?」


「会話の内容も男的な感じじゃ……「あの……」」


まともな返事も出来ていないのに、まだまだ続くと思われた会話は控え目な声に遮られた。


「うわっと!ごめんなさい。何かしら?」


瞬間に平静を取り戻し、向き直るも彼は少々苦笑い。


そもそもの原因は菜穂姉にあるのだから、『何かしら』ではないと思うのだが、それは気にしないでおくことにした。


「望月さん、もう一人じゃないみたいなので俺はここで……」


「桐谷少年!」


「「!?」」


菜穂姉が突発的に叫ぶので彼と共に私も肩を跳ねさせる。そうこうしている間も待ってくれないのか手を勢いよく取った。